2015年8月5日 GOING UNDER GROUND 「新」オフィシャルサイトがオープンしました。

装いも新たに、GOING UNDER GROUNDのオフィシャルサイトがオープン!

今後のGOING UNDER GROUNDの最新情報は

をご覧ください。

なお、GOING MAGAZINEは一定期間の公開後、新オフィシャルサイトへ統合されます。長らくご愛顧いただき誠にありがとうございました。

GOING UNDER GROUND Youtube公式チャンネル
ゴーイングマガジン / 古本屋ツアー・イン・ジャパンの『均一台三段目の三番目の古本』 / 第十一冊 静岡 馬場町『古本ブックスランド 馬場町店』
古本屋ツアー・イン・ジャパンの『均一台三段目の三番目の古本』

日本全国の古本屋&古本が売っている場所の、全調査踏破を目指す無謀なブログ【古本屋ツアー・イン・ジャパン】を運営するGOING UNDER GROUNDのスタッフのひとり「tokusan」のコラム。

お店をダッシュで巡ること多々あり。調査活動は今年でいよいよ五年目へと突入する。最近は「フォニャルフ」の屋号で古本販売も始めた。あぁ、私は一体何がしたくて、果たして何処へ向かっているのだろうか…。

第十一冊 静岡 馬場町『古本ブックスランド 馬場町店』

私は常に古本屋さんを求めている。それも調査対象となる未知の古本屋さんを、である。自主的調査を開始して足掛け五年。東京都内の古本屋さんは、神保町古書店街以外は、ほぼ巡り倒してしまった。だから最近は、地方に足をグイッと延ばすことが増えて来てしまっている。未知の土地に行く楽しさと、確実に跳ね上がって行く交通費の板挟みになりながら…。

2013年がスタートしてもはやひと月が経とうとするある日、静岡に新規開店する古本屋さん情報を手に入れたので、普通列車で三時間以上掛けてゆっくり急行する。訪ねたお店は、非常に良いお店であった。しかし店頭でこの連載のネタを拾おうとしたら、三段目が無いのである…残念。仕方無くあきらめ、『均一三段目三番目』を求めて、街を彷徨い出す。静岡では駿府城公園の周囲に古本屋さんが点在しているので、順繰りに巡ってみたのだが、なかなか条件に合う均一棚には出会えない。結局四軒目の「古本ブックスランド 馬場町店」で、ようやくしっかりと三段目がある棚を確認する。

三列目三段目

近付いて目当ての場所を覗き込むと、今回の本は新潮文庫「村上朝日堂の逆襲/村上春樹・安西水丸」であった。おぉ!安西水丸と言えば、ゴーイングのニューアルバム「Roots & Routes」ジャケイラストを描いていただいた方ではないか(見慣れた作風の“ヘタウマ”イラストを想像していたので、アート的なアプローチに『これが安西水丸?』と大いに驚いた)。

これは縁があるな、と勝手に感じ入り100円で購入する。

ちなみに私は村上春樹を読んだことが無い。古川日出男が楽しくリミックスした『中国行きのスロウボート』(これは面白かった)や、映画化されたデビュー作『風の歌を聴け』(1981年公開、監督:大森一樹、主演:小林薫。鼠役の巻上公一が一番格好良い)を観たことぐらいが、私の村上春樹体験であろうか…。

帰りの車中で半分ほど読み進み、後は次の日に布団の中で読了する。何だかツルツル読めたぞ。内容は『週刊朝日』の連載エッセイをまとめたもので、“逆襲”とあるのは前作「村上朝日堂」の続編だからである。エッセイはおよそ2200文字の文章と、ほぼ一コマ漫画のようなイラストで構成されている。

カバーイラストは何故か『インディ・ジョーンズ』を思わせるイラストで、時は1985年のバブル初期。“エッセイスト”や“コラムニスト”と言うカタカナの文化的職業が脚光を浴び始めた時代でもある。このイケイケな時代の熱狂の渦中に飲み込まれていた人たちの文章は、今となっては気恥ずかしく、再読するのはキツいものが多い。しかし村上春樹の文章は、その時代の波を捉えつつ、自身も多少巻き込まれていながらも、フラットな視線を保っている。

それにしても、まるでエッセイのお手本のような、読み易い文章である。ほぼ同じ文章構成を保ちつつ、よくもまぁこれだけ面白いことが書けるのだなと、感心することしきり。“事象紹介”→“脱線”(この外し方が絶妙で、妄想力の発揮が文に瑞々しさを与えて行く)→“データ”→“心情”→“本音”など、クルクル変化しながらその回のテーマを掘り下げ、教養をさりげなく滲ませ文章は進んで行く。さらに、『自分の世界』『周辺の世界』『公共的世界』『ワールドワイド世界』と大小の世界への出入りを自由にして、その差異を浮かび上げおかしみを生み出して行く。

もはやここには“作法”、もしくは“エッセイ道”と呼べるほどの流麗なテクニックが、潜んでいるのではないだろうか。テクニックに乗せて書くからこそ、スピード感溢れる週刊連載に対応出来るのだ。そして安西水丸のイラストは、文章と細かに内容が合致しているので、確実に原稿を見て描いていることが判る。つまりは締め切りをキッチリ守っているのである。何としっかりした大人の仕事っぷりなんだ…。

だがこの本では、村上春樹の本領たる小説の一端に触れることは出来なかった。自信を持って『私は村上春樹を読んだことがある!』とは、とても言えぬ状況に変わりはない。小説に関するちょっとしたエピソードや創作秘話みたいなものも書かれてはいるが、やはりそこはあくまでエッセイなのである。

よって現在、私の中での村上春樹は、エッセイの上手い人どまり…せめてノーベル賞を受賞する前に、一作くらいは読んでおかなければ。そんな風な小さな小さな焦燥感に駆られながらも、しかしまぁ、今となっては古臭い感のある、小林薫主演の映画から一歩前に進んだだけでも、良いこととしておこうか。

今回の三列目三段目

村上朝日堂の逆襲
(新潮文庫)
村上 春樹/安西 水丸

今回の古本屋

古本ブックスランド 馬場町店
住所/静岡県静岡市馬場町95
電話番号/054-272-7215
営業時間/-
定休日/-
2013年2月1日
GOING UNDER GROUND THE BOX
中澤寛規の酔いどれPodcast番組「赤羽 となりの座敷席」
GOING UNDER GROUND Youtube公式チャンネル
GOING UNDER GROUND Ustreamチャンネル
浦和フットボールとゴーイングマガジンのコラボ企画始動!
GOING UNDER GROUND 石原聡の一日一麺
GOING UNDER GROUND 公式ファンクラブ「TEAM GOING(チームゴーイング)」とファンクラブ会報「ひだまり画報」
浦和フットボール通信公式サイトへ
GOING UNDER GROUND 公式オンラインショップ「松本屋」
GOING UNDER GROUND 松本素生とYOUTH RECORD 庄司信也のHIPな遊び場、「週末Diner」。