2015年8月5日 GOING UNDER GROUND 「新」オフィシャルサイトがオープンしました。

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古本屋ツアー・イン・ジャパンの『均一台三段目の三番目の古本』

日本全国の古本屋&古本が売っている場所の、全調査踏破を目指す無謀なブログ【古本屋ツアー・イン・ジャパン】を運営するGOING UNDER GROUNDのスタッフのひとり「tokusan」のコラム。

お店をダッシュで巡ること多々あり。調査活動は今年でいよいよ五年目へと突入する。最近は「フォニャルフ」の屋号で古本販売も始めた。あぁ、私は一体何がしたくて、果たして何処へ向かっているのだろうか…。

第七冊 千葉 佐原『武雄書店』

千葉県北部にある佐原は、利根川に注ぎ込む小野川を中心に、かつて舟運で栄えた『水郷の街』である。

川沿いに突然現れる、川越と柳川を足して二で割ったような古い街並に驚きつつ、そこここに、この街で五十才まで暮らした伊能忠敬の影を見ることが出来る。『大河ドラマに伊能忠敬を』などと言う幟も立っているので、観光地として今もそれなりに栄える街は、さらなる隆盛を狙っているようだ。

そんな歴史的な街並の中にも、古本屋さんはしっかりと紛れている。街の中心部・忠敬橋の近くにある『武雄書店』。建物自体は煉瓦タイルで化粧され、店頭にたいやき屋まで併設している俗っぽいスタイルだが、お店の中にギュウギュウと詰まった大量の古本は、このような街にこそ相応しい。

たいやき屋は夏期は休業のため、その入口横に十四箱のダンボールが並べられ、一冊50円、三冊100円の安さを誇る均一台の役目を果たしている。

そこに近付き、上から三段目のダンボール、さらにその中の右から三冊目を注視する…背文字が擦り切れてるな(古本屋では均一台に並べられた本の上に、さらに本を積み重ねることがあるため、このように本の背が擦れてしまうことも)…作者名に『ビート』の文字が…。

その薄い文庫本を引き出すと、新潮文庫・ビートたけしの「少年」だった。あっ、たけしだ!芸人としてのたけしは好きだし、映画もよく見るのだが、本は一度も読んだことなかった。彼の多彩な才能のうち、絵画同様、この文章を創作する能力には、まったく惹かれたことがなかったのだ。

三列目三段目

だからなのか、中々読み始めることが出来なかった。なんとなく面倒くさいと言うか、気が乗らないと言うのか、半身の好きな部分がある故に、何で今更読まなきゃいけないんだの思いが、強く心を支配していた。しかし段々と締め切りが迫り、そうもごまかしていられなくなった愛知への車中で、ようやく紐解く決心をした。…そして一時間ほどで、あっけなく読了…。

全155Pに三編の短編小説を収め、げっ!これ二十一刷もいってる!たけしの本って、こんなに売れるんだ。と奥付を見てちょっとカルチャーショックを受ける。南伸坊装幀カバーの“ビートたけし”の文字が結構デカイ。やはりたけしのタレントとしてのネームバリューは、外せない要素のようだ。

それぞれの小説は、東京・大阪・京都を舞台とし、小学校三年生・小学校四年生・中学校三年生の、三人の少年が主人公となっている。ストーリーは、“ベタ”と言っても良いほどオーソドックスで、『星の巣』以外は幸せな笑いを随所に含み、おだやかに流れて行く。

文体は児童文学のような優しさで、彼が描く絵と同じく、ヘタでも良いから言葉を細かく真摯に紡いで行き、丁寧に優しく物語りを織り成して行くタイプだ。全編おセンチ満載!たけし、センチ!映画で言えば『キッズリターン』や『菊次郎の夏』につながるセンチ!

この“センチ”は、“ノスタルジー”と合わせられることにより、その威力を通常の範囲で発揮している。しかし前述したように“ベタ”なのである。あとがきでたけし自身が、小説とは真逆のハードボイルド的文体に突然変貌してしまうのは、この“ベタ”からの照れだとしか思えない。

解説の小林信彦も、“解説”なのに、芸人としてのたけしについて書き連ねているだけなのも、何となく納得が出来てしまう。

この小説集を出した時は、俳優として活躍はしていたがまだ映画撮っておらず、1989年の深作欣二からバトンタッチして監督した『その男、凶暴につき』まで待たなくてはならない。

たけしの、小説にも溢れていたベタ過ぎる“センチ”が、意外にも華々しく輝き始めるのは、この暴力映画からではないだろうか。非道で無情な暴力に込められた“センチ”が、あんなにも美しく切なく花開くとは、一体誰が想像しただろうか。しかしこの“センチ+暴力”の強力な役は、四作目の『ソナチネ』を最高峰として、以降力を失って行く。“センチ”が悲しみと別れを乗り越え過ぎて、たけし自身の死と直結してしまい、物語がたけしだけのものとして単純化してしまったのだ。

これ以降は、シリアスな映画よりお笑い映画の方が、振り切っていて力がある時代が続く。そしてようやくたどり着いた近年の傑作『アウトレイジ』は、“センチ”と“暴力”を切り離したことにより、つまりは“たけし”の死の物語と切り離したことにより、暴力を純化させることに成功した、新しいバイオレンス映画だと言えよう。

映画では、一回りしてようやく娯楽に帰って来た感がある。ならば小説の方も一回りするために、一度思いっ切り暴力に満ち溢れた物語を、文章で表現してくれたらなと、贅沢に考えてみたりする。たけしにはまだまだやってもらわなければいけないことがあるはずだ。勝手にそんなことを望みながら、『アウトレイジ ビヨンド』の公開を心待ちにして、日々を過ごしていたりする。

今回の三列目三段目

少年
(新潮文庫)
ビートたけし

今回の古本屋

武雄書店
(たけおしょてん)
住所/千葉県香取市佐原イ1719
電話番号/0478-54-2088
営業時間/10:00~19:00
定休日/月曜定休
2012年10月05日
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